ファンダメンタルとは?ファンダメンタルズ分析のやり方や指標を解説

ファンダメンタルとは?ファンダメンタルズ分析のやり方や指標を解説

企業を分析する方法の一つに、ファンダメンタルズ分析があります。

ファンダメンタルズ分析は、銘柄を選ぶ時の判断材料として非常に重要です。

今回はそんなファンダメンタルについて詳しく解説します。

ファンダメンタルとは

ファンダメンタルとは、「経済の基礎的条件」と訳すことができ、国や企業などの経済状態を表す指標のことを言います。

国においては、経済成長率(GDP)・物価上昇率・失業率・財政収支・貿易収支などを指します。

企業においては、利益率や成長性を表す、株価収益率(PER)・1株当たり純利益(EPS)・自己資本利益率(ROE)などを指します。

ちなみに、「ファンダメンタル」と「ファンダメンタルズ」の2通りの言い方がありますが、違いは単数形か複数形かというだけです。一般的に指標は一つだけではないので、ファンダメンタルズ分析などと言われることが多いです。

ファンダメンタルズ分析のやり方

ファンダメンタルズ分析の基本は財務諸表(決算書)

ファンダメンタルズ分析の基本は財務諸表(決算書)ですので、しっかりと読み取ることが大切です。

財務諸表は、企業のホームページ上に掲載されている場合がほとんどなので簡単に入手できます。過去数年分の財務諸表を公開している場合も多いので、しっかりと企業分析に役立てるといいでしょう。

財務三表から様々な情報が読み取れる

財務諸表(決算書)には、主に貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書が記載されています。これら3つを財務三表と言います。

この財務三表から様々な情報を読み取ることが出来ます。

貸借対照表

貸借対照表とは、企業の財産や負債の状況、すなわち財務状況を把握することが出来る計算書のことであり、別名「B/S」(バランスシート)とも呼ばれます。

貸借対照表は「資産」「負債」「純資産(資本)」の状態を示しており、この関係性を計算式で表すと、

資産 = 負債 + 純資産(資本)

となります。

資産・・・どのような状態でお金を持っているかを表します。流動資産(現金・受取手形・売掛金・有価証券など)と、固定資産(土地・建物など)に分類できます。
負債・・・借金のようなものであり、返済しなければならないお金です。流動負債(支払手形・買掛金・未払金・短期借入金など)と、固定負債(長期借入金・社債など)に分類できます。
純資産(資本)・・・負債と違って、返済する必要のないお金です。株主資本(資本金・資本剰余金・利益剰余金・自己株式など)や、評価・換算差額金、新株予約権などが含まれます。

貸借対照表では、資産に対して負債がどれくらいあるのか、純資産がどれくらいあるのかを、しっかり確認するようにしましょう。

会社の健全性を表す指標として、自己資本比率についてもしっかり確認しておく必要があります。

自己資本比率とは、総資本(自己資本と他人資本の合計)に対する、自己資本の比率のことを言います。つまり、返済する必要のない「資本」がどのくらいの割合であるのかを表します。

計算式で表すと以下のようになります。

自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資本(自己資本+他人資本)

総資本に対して自己資本が多い場合は、借り入れが少なく、全ての借り入れを返しても資本が残るため、会社の安全性は高いと判断出来るでしょう。

反対に自己資本が少ない場合は、借り入れが多いということになるので、安全な会社であると判断するのは難しいでしょう。

損益計算書

損益計算書は、一定期間の収益と費用の関係を表したものであり、別名「P/L(ピーエル)※Profit and Loss Statementの略」とも呼ばれます。

損益計算書によって、企業がどれだけ利益をあげることが出来たのかを把握することが出来ます。

利益には「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つがあります。

売上総利益

売上総利益は、企業の商品やサービスによって得た利益になります。

商品やサービスを提供した対価として得られた「売上」から、商品を仕入れるなどしてかかった「費用」を差し引いて求めることが出来ます。

計算式で表すと以下のようになります。

売上総利益 = 売上高 - 売上原価

売上原価が小さいほど、売上総利益は大きくなることになります。そのため、効率よく資金繰りをしているかを判断するには、売上高だけを見るのではなく、売上総利益を見ることが大切になってきます。

営業利益

営業利益は、その会社の本業にあたる営業で得た利益のことを言います。

先ほど求めた「売上総利益」から、「販売費」や「一般管理費」を差し引いて求めることが出来ます。

計算式で表すと以下のようになります。

営業利益 = 売上総利益 - 販売費や一般管理費

販売費は商品の広告にかかる費用だったり、一般管理費は社員の給与やオフィス賃料などになります。

経常利益

経常利益は、本業以外の収益によって得られた利益のことを言います。

先ほど求めた「営業利益」に、「営業外収益」を加えた後、「営業外費用」を差し引いて求めることが出来ます。

計算式で表すと以下のようになります。

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

営業外収益は、預貯金をして得られる利子「受取利息」や株の売買益などの本業以外のものによって得られる利益であり、営業外費用は、その本業以外の活動にかかる費用のことを言います。

税引前当期利益

税引前当期利益は、法人税や住民税などを差し引く前の利益額のことを言います。

「経常利益」に「特別利益」を加えた後、「特別損失」を差し引いて求めることが出来ます。

計算式で表すと以下のようになります。

税引前当期利益 = 経常利益 + 特別利益 - 特別損失

特別利益は、不動産売却益や株の売却益などの本業とは関係のない臨時的に得られる利益であり、特別損失は、反対に不動産売却損や株の売却損などの本業とは関係のない臨時的な損失のことです。

当期利益

当期利益は、当該決算期における最終的な利益のことを言い、企業の純粋な利益になりますので「当期純利益」とも呼ばれます。

「税引前当期利益」から法人税や住民税などを差し引いて求めることが出来ます。

計算式で表すと以下のようになります。

当期利益 = 税引前当期利益 - (法人税+住民税+事業税)

この当期利益に基づいて株主への配当金や次期繰越金額が決められます。当期利益がマイナスだとその企業は赤字だということになり、5つの利益の中でも特に重要ですのでしっかりチェックするようにしましょう。

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書とは、現金の増減を示したもので、決算の期首に現金がいくらあって期末にいくら残っているかといった、現金の流れを把握するのに役立ちます。つまり、資金繰りが正常に行われているかを見ることが出来ます。「C/F」と略されることもあります。

キャッシュフロー計算書は、「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つに分類されて集計されます。

営業活動によるキャッシュフロー

営業活動によるキャッシュフローは、その企業が本業の営業活動からどれだけのキャッシュを稼ぐことが出来たのかを示します。

この値がプラスであるほど、本業が順調で多くのキャッシュを稼いでいるということになるので、良い評価ということになります。

投資活動によるキャッシュフロー

投資活動によるキャッシュフローは、設備投資や新規事業投資、株式投資・国債購入などの投資活動による現金の流れを示します。

本業が順調な会社は、現事業の強化のために設備投資を行ったり、新規の事業に投資をしたりと、より利益を増加させるために投資を行います。そのため、営業活動によるキャッシュフローがプラスであり、投資をたくさん行っていて投資活動によるキャッシュフローがマイナスである会社は、成長性があることを表しています。

財務活動によるキャッシュフロー

財務活動によるキャッシュフローは、営業活動や投資活動を行うために、どのように資金調達をして負債を返済したかを示します。

営業活動によるキャッシュフローがプラスで、借入金をしっかり返済してれば、財務活動によるキャッシュフローはマイナスになります。

ファンダメンタルズ分析で使用される指標

ファンダメンタルズ分析の基本である財務諸表(決算書)について解説してきましたが、財務諸表だけを見て投資判断をするには不十分です。

投資判断をするためには、その企業の株価が割高か割安かの判断をしなければなりません。

株価の割高・割安性を判断するには、「PER」や「PBR」などの指標が役に立ちます。

PER(株価収益率)は株価が『1株あたりの純利益』の何倍かを表し、PBR(株価純資産倍率)は株価が『1株あたりの純資産』の何倍かを表します。

これら指標の詳細については、下記記事にて詳しく解説しているのでぜひご覧ください。

PERとは?株価の割安・割高の基準になる?目安はどれくらい?
PBR(株価純資産倍率)とは?割安・割高の目安になる?

数値だけでなくどんな会社かその目で見ることも大切

決算書の数値やデータだけでなく、その企業が実際にどんな会社なのかを知ることも非常に大切です。

企業ホームページやプレスリリース、インタビュー記事などから、企業の風土や歴史、経営者のマインドなどをチェックするようにしてください。

その企業が提供するサービスを実際に利用してみるのもいいかもしれません。

そうすることで、本当に応援したいと思える企業に出会うことが出来るはずです。

まとめ

株式投資で利益を得るためには、ファンダメンタルズ分析は非常に重要です。

ただし、ファンダメンタルズ分析だけを行えば絶対に儲かるというわけではありません。

どんなに業績の良い企業であったとしても、株価が割高であれば株価は下がりますし、国の政策や海外情勢などによって株価が下がることもあります。

ファンダメンタルズ分析だけでなくその他指標も組み合わせ、様々な手法で分析を行うことで、投資の精度を高めていくようにしましょう。

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