金融引き締めは株価にどう影響する?上がる株はどんな業種?

金融引き締めは株価にどう影響する?上がる株はどんな業種?

金融引き締めは、中央銀行が景気の過熱を抑制させ、インフレが起きるのを防ぐために実施する金融政策です。

一般に金融引き締めを行うと、経済活動が抑制され、景気が減速することになるわけですが、果たして株価にはどう影響するのでしょうか。また、金融引き締めによって株価が上がる業種はあるのでしょうか。

当記事では、金融引き締めと株価との間にどのような関係があるのか解説していきます。

金融引き締めとは

金融引き締めとは、中央銀行が景気の過熱を抑制させ、インフレが起きるのを防ぐために実施する金融政策のことを言います。

物価が上昇するなど景気が過熱気味の局面において、政策金利の引き上げや預金準備率の引き上げ、国債などの中央銀行が保有する資産を売却するなどして、市場に出回る資金量を減少させて金利上昇を促進させます。

金利が上昇すると企業や個人の借り入れが減るので、消費や投資などの経済活動を抑制させることに繋がります。

これに対し、経済活動を活発化させることを目的とした金融政策を「金融緩和」と言います。金融緩和についてはこちらの記事にて詳しく解説しています。

金融引き締めは株価にどんな影響が?

基本的に金融引き締めが行われると株価は下がる傾向にあります。

新規事業の立ち上げや事業拡大に向けて企業は金融機関から資金を借り入れすることがありますが、利上げによって民間金融機関の貸出金利や預金金利などの市場金利が上昇すると、借り入れする際のコストが高くなることから、企業は資金の借り入れに対して慎重になります。

企業活動が消極的となり、事業活動が鈍化するようになると、企業の業績や成長性に悪影響が出て株価の下落に繋がります。

ただし、あくまでも利上げは景気が拡大している際に景気や物価の安定を図り、持続的な経済成長に繋げることを目的としているものなので、適切な利上げが実施されていれば、株価への影響は小さくて済みます。

金融引き締めで必ずしも株価が下がるとは限らない

注意しなければならないのは、金利が上がったからといって必ずしも株価が下がるとは限りません。

それは明らかに景気が良い時での金利上昇の場合です。

景気が良ければ企業の業績は良くなり、給料も上がります。給料が上がれば物がたくさん売れるようになります。物の需要量が増えれば企業は供給量を増やすために設備投資をします。設備投資をするために企業は銀行から借り入れを行います。

つまり景気が良ければ、たとえ金利が高くても借り入れをしたい人も増えます。このような場合においては、金利が上がっても株価が上がりやすくなります。

そのため、金利が上がったから株価が下がると安易に考えるのではなく、なぜ金利が上がったのか、その目的や背景をしっかり把握することが大切です。

金融引き締めで上がる株は?

金利上昇局面において、株価が上昇しやすい業種の代表格といえるのが銀行です。金利が上昇すると、貸出金利の利ざやが拡大し、業績の向上が見込めるためです。

また景気敏感株も、製品の需要が増えて売り上げが伸びることから、株価が上昇しやすい傾向にあります。景気敏感株とは、景気の変動によって業績も変化しやすい業種の株のことを言います。主に、化学、鉄鋼、機械、輸送用機器、パルプ・紙などが挙げられます。

さらに空運も、金利上昇局面で株価が上がりやすい業種の一つと言えます。国内の金利が上がると円高につながり、海外への旅行客が増え、売り上げ拡大が期待できるためです。

成長株は金利上昇によるマイナスの影響を受けやすい

成長株とは、今後大きく収益の増加が期待された、成長が見込まれる株のことを言います。そんな成長株は、金利上昇によるマイナスの影響を受けやすいと言えます。

成長企業は、将来に向けて事業を拡大していくために銀行から借り入れて資金調達を行いますが、金利が上昇すると金利負担が増えるためデメリットに働きます。

将来的に拡大されると期待されていた収益が、金利上昇によって激減すると予想されるようになるため、株価にもマイナスの影響を受けやすくなります。

成長株は好材料のニュースが出るなど注目を浴びると一気に株価が急騰するチャンスがありますが、成長の鈍化などの悪い材料のニュースが出ると一気に急落してしまうリスクがあるので注意が必要です。

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