インフレと株価の関係性とは?インフレに強い株は?

インフレと株価の関係性とは?インフレに強い株は?

インフレとは「インフレーション」の略で、モノやサービスの値段(物価)が上がり続けることを言いますが、このインフレが株価を動かす要因の一つになり得ることをご存じですか?

株式投資をするうえで、インフレと株価の関係性を知っておくことは重要です。インフレになるとモノの価値が上がり企業業績が上がる傾向にあるため、株価も上昇しやすいという見方がある一方、インフレになると金利が上昇する傾向にあるため、株価は下落しやすくなるという見方もあるなど、様々な見方ができるのも事実です。

当記事では、インフレと株価の関係性を解説しますので、ここで一度整理しておきましょう。また、インフレに強い株なども合わせて紹介します。

そもそもインフレになるのはどうして?

インフレとは、モノやサービスの値段(物価)が上がり続けることを言いますが、そもそもなぜインフレが起きるのでしょうか。

一般的には、景気の拡大に伴いインフレが発生します。

企業業績が良くなり、景気が良くなると、働く人の給与がアップします。収入が増えるため、買い物意欲が湧いてきます。買い物需要が増えて消費が拡大すると、「高くても買いたい」という人が増えて、モノやサービスの値段が上がります。値段が上がってもモノやサービスが売れるわけですから、企業業績がアップし、さらに景気が良くなっていくという流れになります。

このサイクルを大まかな流れで表すと以下のようになります。

1) 景気が拡大

2) 給与・収入アップ

3) 買い物意欲アップ

4) 買い物需要増大・消費拡大

5) モノやサービスの値段が上がる

6) 値段が上がっても消費が加速するため、企業業績がさらにアップ

7) 結果、景気が拡大するため、再度1)に戻り繰り返し

「良いインフレ」と「悪いインフレ」

これだけ見ると、インフレは、収入が増えて消費が増大するので、個人にも企業にもいいことづくめのように見えますが、必ずしもいいことばかりとは限りません。

例えば、物価の上昇スピードが速すぎたり、給与が増えないのに物価が上がってしまうと、家計を圧迫し、経済活動の停滞につながることになります。

また、日本では原材料の多くを海外からの輸入に頼っているモノやサービスも多く存在します。そうした場合、仮に海外の物価が上昇してしまうと、仕入れコストが増大することになるので、国内の景気が良くなったわけではないのに、モノやサービスの価格が上がってしまうといったこともあります。

このようにインフレには「良いインフレ」だけでなく、景気が停滞、あるいは悪くなっているのに物価が上がる「悪いインフレ(※スタグフレーションとも言う)」があります。

基本的に、物価の上昇以上に給料(収入)も上がることが「良いインフレ」の大前提であり、そうでない場合は「悪いインフレ」の傾向にあるといえます。

株価とインフレの関係

株価とインフレにはどのような関係性があるのでしょうか。

株式はインフレに強い?

一般的に株式はインフレに強い資産と言われています。

物価が上昇するインフレでは現金の価値が下がることになるので、現金以外のモノや商品に交換する動きが活発になることから、株式で保有しておきたいと考える人が増える傾向にあるためです。

また、株価を動かす要因の一つに企業業績があります。

景気の拡大局面では、価格を引き上げても消費者の購入意欲は低下することなく、販売数量も変わらないため、企業の収益が増えることになります。収益が増えて、企業業績が良くなれば、株価も上昇しやすくなります。

景気の動向が重要

ただし、インフレによって株価が上昇しやすいというのは、あくまでも景気が拡大している局面での話です。

景気が横ばい、あるいは低迷している局面では簡単にはそうはいきません。

こうした局面で、仕入れコストが増大した分を企業が販売価格に上乗せして販売した場合、消費者の購入意欲は低下し、販売数量が減ってしまうことがあります。とはいえ販売価格を引き上げないと、コストが増えたため販売数量が増えない限り収益は減ってしまいます。

このようにして企業の収益が減り、業績が悪化してしまうと、株価は下落していく可能性が高くなります。

そのためインフレ時に株価の動向を判断するには、景気が拡大しているかどうかが重要なポイントになります。

金利上昇による株価への影響

景気の拡大をともなうインフレであれば、長期的にみた場合、基本的に株価は上昇傾向にあります。

ただこの場合でも、短期的には株価が下落することもあるので注意が必要です。

インフレで物価が上がり過ぎた場合、通貨の価値を下落させないよう、政府は金融引き締めを行い金利を上げようとします。

金利が上がると、消費者はローンや借金などをして購入する意欲が低下することになり、企業は借入金の支払利息が増えたり、新たな借入れをしにくくなることで、企業の収益が圧迫されるようになります。

また、金利が上がると預貯金や債券などの安全性の高い利回り商品の方が良いと考える人が増え、株式は売られる傾向にあります。

そのため、金融引き締めが行われて金利が上昇した場合、もしくはこの金融引き締めを警戒して、一時的に株価が下落する可能性があります。

インフレに強い株は?

インフレ時にはどういった業種や企業の株価が上昇しやすいのでしょうか。

ここではインフレや金利上昇に強い業種・企業を紹介します。

金融

銀行や保険などの金融株は、金利上昇に強い代表として挙げられます。

金融業界は金利上昇による影響を直接受けることになり、金利が上昇することで、運用益や利ざやが増えて、収益の拡大が見込めます。

資源・エネルギー

資源・エネルギー関連株も、インフレに強い代表格です。

インフレになって、資源・原油価格の上昇することが、そのまま収益の拡大につながります。

卸売業

総合商社のような卸売業も、資源・原油価格の上昇がそのままプラスになり、収益拡大につながります。

不動産

実物資産である不動産もインフレに強いと言われています。

物価が上がって現金の価値が下がっても、不動産価値は下がらないだけでなく、物価指数の上昇によって家賃収入も上昇しやすい傾向にあるなど、収益の拡大が見込めます。

輸出業

日本でインフレが進むと、お金(円)の価値が下がることになるため、円と外貨を交換する際にも円の価値が下がるため、円安を招く原因になります。

円安になると輸出業の収益拡大につながりますので、輸出業もインフレに強いと言えます。

有利子負債比率が低い企業

有利子負債比率が低い企業というのは、要は銀行等からの借入金が少ない企業のことを言います。

インフレによって金利が上昇した場合、大きな負債を抱えた企業にとっては利息負担が増え、業績の悪化につながります。一方、借入金の少ない企業は経営が安定しており、金利上昇の影響を受けにくいと言えます。

バリュー株

本来の企業価値と比べて株価が割安な銘柄のことを「バリュー株」と言います。対して、将来の成長性が期待されて現在の企業価値に対して株価が割高な銘柄のことを「グロース株」と言います。

インフレによる金利上昇局面では、投資家は本来の企業価値に対しての株価を意識するようになるため、割安なバリュー株の方が買われやすく、割高感のあるグロース株は売られやすくなる傾向にあります。

まとめ

一般的に株式はインフレに強い資産と言われています。

ゆるやかなインフレは物価上昇とともに企業業績も良くなっていくので、一時的な下落はあっても、長期的には株価は上昇していく傾向にあります。

しかし物価が急激に高騰する激しいインフレは、消費者の購買意欲をなくすため、企業業績悪化の要因となります。

また、物価上昇時に景気も悪化している場合には要注意です。原油などの原材料価格の高騰によって、景気が悪化しているにもかかわらず物価が上昇することもあります。景気が悪く、給料が増えていないのに物価が上昇する状態は、消費者にとって非常に苦しい状況となるため、経済活動の停滞につながります。すると、企業の収益が減り、業績の悪化へとつながるので、株価が下落していく可能性が高くなります。

インフレ時に株価の動向を判断するには、景気が拡大しているかどうかをしっかり見極めるようにしましょう。

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