流動比率の目安とは?高い・低いどっちが良い?当座比率との違いを解説

流動比率の目安とは?高い・低いどっちが良い?当座比率との違いを解説

流動比率は会社の安全性を示す財務指標の一つです。

流動比率によって会社の短期的な支払い能力を判断することができるので、企業分析において重要な指標であると言えます。

そこで当記事では、流動比率とはどういったものなのか、目安や当座比率との違い等、分かりやすく解説します。

流動比率とは

流動比率とは、会社の財務の安全性を示す指標の一つであり、会社の短期的な支払い能力を判断することができます。

流動比率は、「流動負債」に対して「流動資産」がどれくらいあるかを示す数値であり、「流動資産」を「流動負債」で割ることで求めることができます。つまり、企業の短期的な負債に対する支払い能力を判断するのに役立ちます。

計算式は下記のようになります。

流動比率(%) = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100

流動資産は、1年以内に現金化される資産のことを言い、「現金預金」「受取手形」「売掛金」「有価証券」「棚卸資産」などが該当します。

流動負債は、1年以内に返済する必要のある負債のことを言い、「支払手形」「買掛金」「前受金」「短期借入金」などが該当します。

流動比率の値が大きいほど、会社の短期的な支払い能力が高いと判断することができ、安全性も高いと言えます。反対に流動比率の値が小さいほど、短期的な支払い能力に余裕がなく、倒産するリスクの高い会社であると判断できます。

流動比率の値を大きくするには、流動資産を増やすか、流動負債を減らす必要があります。

流動比率の目安は?

流動比率は、一般的には『120%』以上であれば問題ないと判断でき、『200%』以上であればかなり安全性が高いと判断できます。一方で『100%』を下回る場合は危険水準であり、短期的な支払い能力に不安があると言えます。

ただし流動比率が高いからと言って、必ずしも安全とは言えません。流動資産には、現金預金以外の資産も多く含まれており、現金化するのに時間がかかる可能性もあるためです。

また、流動比率は業種によって差があり、「小売業」「卸売業」などは流動比率が低くなる傾向にあります。他社と比較をする際は、同業他社と比較をするようにしましょう。

流動比率が高い場合は絶対に安全?

流動比率が高い方が安全性が高いというのはすでに説明しましたが、流動比率が高いからと言って、必ずしも安全とは言い切れません。

流動資産には、現金預金の他に、製品(※在庫)、受取手形、売掛金、有価証券などの資産も含まれます。こうした現金預金以外の資産は、すぐに現金化(資金化)できるとは限りません。

また、信用の無い会社である場合、掛け取引をすることができず、現金での決済しか行えなかったり、銀行からの借り入れができないこともあります。その場合、流動負債が小さくなり、結果として流動比率が高くなります。

そのため、流動比率が高いからといって安心するのではなく、流動資産や流動負債等の内訳にもしっかりと着目するようにしましょう。

流動比率が低い場合は絶対に危険?

流動比率が100%を下回る場合は、流動負債に対して十分な返済資金が無い可能性が非常に高いため、危険水準であると判断できます。今後さらに資金繰りが悪化すれば倒産のリスクもあります。

ただし、小売業のように日々現金が入ってきやすい業種であれば、たとえ流動比率が低くても、安全性は問題ないと判断できる場合もあります。

当座比率との違いは?

流動比率と似たような指標として「当座比率」があります。この当座比率も、会社の短期的な安全性を見る財務指標となります。

当座比率は当座資産を流動負債で割ることで求めることができます。

計算式で表すと下記のようになります。

当座比率(%) = 当座資産 ÷ 流動負債 × 100

当座比率も流動比率と同様に、数値が大きいほど安全性が高いと判断できます。反対に数値が小さいと安全性が低いと判断され、倒産するリスクも高いといえます。

流動比率と当座比率との違いは、計算式の分子の部分になり、流動比率では「流動資産」でしたが、当座比率では「当座資産」が使われます。つまり当座比率は、流動負債に対してどれくらい当座資産を保有しているかを表す数値となります。

この当座資産とは何かと言うと、流動資産から「棚卸資産」を取り除いた資産のことです。

棚卸資産(※いわゆる「在庫」)を取り除くことで、流動比率よりも現金化しやすい資産に限定して考えられた指標となり、より短期的な支払い能力を精密に判断することが可能となります。ただし当座資産も、すぐに現金化できない可能性のある「売掛金」「有価証券」などが含まれているため注意が必要です。

固定比率も合わせて判断すると◎

会社の安全性を分析する際は、固定比率も合わせて判断するとなお良いでしょう。

流動比率や当座比率は短期的な指標でしたが、固定比率は長期的な視点から安全性を分析する指標です。

固定比率は固定資産を自己資本で割ることで求めることができます。

計算式で表すと下記のようになります。

固定比率(%) = 固定資産 ÷ 自己資本 × 100

固定資産は、すぐに現金化される予定のない長期的に所有する資産のことを言い、土地・建物・機械設備といった「有形固定資産」、特許権・借地権・ソフトウェアといった「無形固定資産」などが該当します。

自己資本は、企業が自社内部で調達した返済する必要の無い資本のことを言い、株主が出資した資本金や、事業での利益を積み立てた利益剰余金などが該当します。

つまり固定比率とは、固定資産に投資した資金が、どのくらい自己資本でまかなわれているかを示しており、長期的な支払い能力を分析するのに役立ちます。

固定比率は小さいほど安全性が高いことになります。一般的に固定比率が100%以下であれば、長期で所有する固定資産を、返済する必要のない自己資本で調達できているということになるので、健全な会社であると判断できます。

まとめ

流動比率を見ることで、会社の短期的な支払い能力を判断することができます。

基本的に流動比率が高いほど安全性は高いと判断できますが、すぐに現金化できる資産があるのか等、その内訳等にもしっかりと着目することが大切です。

より精度の高い財務分析を行うために、流動比率だけでなく、当座比率や固定比率といった指標も合わせて活用するといいでしょう。

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