逆指値注文の使い方とは?メリットやデメリットなど分かりやすく解説!
株取引の注文方法の一つに、逆指値注文という注文方法があります。
逆指値注文は、設定した価格に到達した時に、あらかじめ設定しておいた注文が自動的に発注される注文方法です。
通常の指値注文は「〇〇円以下になったら買い」「〇〇円以上になったら売り」といったように有利な条件を設定しますが、逆指値注文ではその逆で、「〇〇円以上になったら買い」「〇〇円以下になったら売り」といったように不利な条件を設定します。
当記事では、逆指値注文はどんな時に使えばいいのか、具体的な使い方やメリット・デメリットなどを分かりやすく解説します。
逆指値注文とは
逆指値注文とは、あらかじめ設定しておいた株価の条件に到達した時に、自動的に注文が発注される注文方法です。
通常の指値注文とは逆で、買付の場合は「〇〇円以上になったら成行・または指値で買い」、売付の場合は「〇〇円以下になったら成行・または指値で売り」といった注文を出すことができます。
指定した価格条件に到達した時に自動的に注文が発注されるので、立会時間中に値動きを見ながらリアルタイムで取引ができない投資家にとって非常に便利な注文方法です。
指値注文との違いは?
指値注文は、「〇〇円以下になったら買い」「〇〇円以上になったら売り」といった、指定の価格以下で買いたい場合や、指定の価格以上で売りたい場合の注文方法です。
逆指値注文はその逆であり、「〇〇円以上になったら買い」「〇〇円以下になったら売り」といった、指定の価格以上で買いたい場合や、指定の価格以下で売りたい場合の注文方法です。
例えば、現在の株価が「100円」の時に、「90円」の売り指値注文を発注した場合、指定した価格よりも高い株価であるため、注文が発注され「100円」で約定します。
しかし、「90円以下になったら売り」といった逆指値注文をした場合は、現在の株価が「100円」であるため、注文は発注されません。
このように、逆指値注文では、通常の指値注文ではできない条件をつけて注文を出すことができます。
逆指値注文はどんな時に使う?
逆指値注文は、主に以下のようなシーン・目的にて使うことがあります。
損切り
株式を買付けまたは売付けをした後、株価が予想とは反対に動いてしまった場合に、損失の拡大を防ぐため、逆指値注文を出しておく方法です。
例えば、ある銘柄を「1,000円」で購入したとします。
株価が上昇することを期待していますが、株価が急落した時に備えて、「950円以下になったら売り」の逆指値注文を出しておきます。
その後、株価が下落して「950円」になった場合、売り注文が発注され、「50円」の損失が確定します。
そしてその後、株価はさらに下げ「900円」になったとします。もし、逆指値注文を出していなければ「100円」の損失が発生していましたが、逆指値注文のおかげで「50円」の損失で済んだことになります。
このように、逆指値注文を出しておくことで、予想に反して株価が動いてしまった場合でも、損失を想定した範囲内に抑えることができ、塩漬けを回避することが可能になります。
利益確保
株式を買付けまたは売付けをした後、株価が予想通りに動いて含み益が出ている場合に、一定の利益を確保するため、逆指値注文を出しておく方法です。
例えば、ある銘柄を「1,000円」で購入したとします。
購入後株価は上昇し、「1,100円」になったとします。まだ上昇の勢いがありますが、相場が反転してしまうことに備えて「1,070円以下になったら売り」の逆指値注文を出しておきます。
その後、相場が反転し株価が「1,070円」になった場合、売り注文が発注され、「70円」の利益を得ることができました。
そしてその後下落トレンドに入ったことで株価が「900円」にまで下がったとします。もし、逆指値注文を出していなければ、利益を得ることができず「100円」の損失が発生してしまいましたが、逆指値注文のおかげで「70円」の利益を得ることができたことになります。
このように、予想通りに株価が動いて含み益が出ている場合に逆指値注文を出しておくことで、そのままさらなる利益を追いながら、一定の利益を確保することが可能になります。
トレンドフォロー
上昇トレンドや下落トレンドに上手く乗るために、新規で逆指値注文を出しておく方法です。
例えば、ここ数か月間「700円から1,000円」の間を推移しているボックス相場の銘柄があった場合、ここ数か月間の高値である「1,000円」を超えれば上昇トレンドが発生すると捉え、「1,020円以上になったら買い」の逆指値注文を出しておきます。
その後ブレイクアウトして株価が「1,020円」になった場合、買い注文が発注され約定します。
そしてその後上昇トレンドに入ったことで株価はぐんぐん上昇し、株価は「1,500円」をつけたため、通常の指値注文で売却し、「480円」の利益を得ることができたことになります。
このように、ボックス相場のブレイクや直近での高値・安値のブレイクを想定し、トレンドが始まりそうな価格で買付けまたは売付けをするように、新規逆指値注文を出しておくことで、トレンドの初動を逃さずに上手くトレンドに乗ることが可能になります。
逆指値注文のメリット
逆指値注文の最大のメリットは、常にチャートを見ていなくても売買できる点です。
逆指値注文の設定をしておけば、自動的に注文を発注してくれるので、常にチャートを見ることができない人にとって非常に役立ちます。
日中、仕事や家事で忙しい人は常に株価をチェックするのは難しいでしょう。もし株価をチェックできない時間帯に保有している銘柄が急落してしまったら大きな損失を生み出してしまいます。しかし、逆指値注文で損切りの設定をしておけば、損失を抑えることができます。
同様に、トレンド転換のタイミングで逆指値注文の設定をしておけば、株価をチェックできない時間帯でも、トレンド転換のタイミングを逃さず、効率良くトレードすることができます。
逆指値注文のデメリット・注意点
逆指値注文にはデメリットや注意点がありますので、しっかりと把握しておきましょう。
指定した価格に達したのに約定しない場合がある
逆指値注文に指定した価格に達したのに約定しない場合があります。
例えば、とある銘柄を保有しており、株価が「950円以下になったら950円の指値で売る」といった逆指値注文をしたとします。
すると、株価が950円以下になったタイミングで、指値950円の売り注文が発注されます。
しかし、株価が950円以下になったにもかかわらず、売り注文が約定しない場合があります。それはなぜでしょうか。
まず一つ目の理由として、自分よりも先に注文された他の投資家の売り注文が優先されたことが考えられます。市場取引は「時間優先」で約定が行われます。同じ価格の指値注文が複数ある場合には、取引所への発注時間が早い注文から順番に約定が行われていくので、板状況によって即座に約定しなかったり、約定が行われないことがあります。
そして二つ目の理由として、逆指値注文を受け付けた時点で、すでに株価が指定した価格よりも下がってしまっていたことが考えられます。今回のケースでは、「950円以下になったら950円の指値で売る」といった逆指値注文を受け付けた時点で、すでに株価が949円以下に下がってしまっており、その後も株価が950円まで戻らないと約定しないことになります。出来高の少ない銘柄やストップ安などの相場急変時に発生しやすくなります。
指定した株価になった時に確実に注文が執行されるようにするには、取引方法を「指値」ではなく「成行」にするなどの工夫が必要です。
想定以上に不利な価格で約定する場合がある
「950円以下になったらで成行で売り」という逆指値注文は、株価が950円以下になったタイミングで注文が執行されるため、優先して約定させるための有効な方法と言えます。
しかしここで注意しなければならないのは、「成行」とは価格を指定せずに注文することであり、売買が成立する価格は、その売買が成立した相手によって決まるという点です。
成行注文を出すと、その時に一番有利な価格で取引が成立できる相手と取引をすることになります。つまり、成行の売り注文をした場合は、その時に一番高い価格で買い注文をしていた相手と売買が成立します。
そのため、株価が950円以下になり、成行の売り注文が発注され、その時に一番高い価格の買い注文額が「900円」だった場合、「900円」で売り注文が約定されてしまいます。
このように、出来高の少ない銘柄や市場価格の変動が大きい際には、想定よりも不利な価格で注文が約定してしまうことがあります。
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