パラボリックの見方・使い方とは?だまし回避は他の指標との組み合わせが有効!

パラボリックの見方・使い方とは?だまし回避は他の指標との組み合わせが有効!

パラボリックは、トレンドの転換点を見極めるのに役立つテクニカル分析指標の一つです。

SAR(ストップアンドリバース)と呼ぶ転換点をつないだラインが放物線状であることから、「パラボリック(放物線)」と呼ばれます。

当記事ではパラボリックの見方や使い方などを、初心者にも分かりやすいよう解説します。

パラボリックとは

パラボリックとは

パラボリックとは、J.W.ワイルダーによって考案されたテクニカル分析指標です。

チャート上にSAR(ストップアンドリバース)と呼ばれる放物線のラインを表示し、トレンドの転換点を見極めるのに役立つ指標となっています。

SARがローソク足の下にある場合は上昇トレンド、SARがローソク足の上にある場合は下落トレンドと判断し、SARと株価が交差する箇所が売買ポイントとなります。つまり、上昇トレンド時はローソク足がSARを下抜けたら売りサイン、下落トレンド時はローソク足がSARを上抜けたら買いサインとします。

またパラボリックは、途転(どてん)を繰り返すという点も大きな特徴です。

途転とは、保有ポジションの決済をすると同時に、同数の反対ポジションを保有する取引を行うことを言います。例えば、保有している買いポジションをトレンド転換時に売却するだけでなく、売りポジションも新規で取ることになります。反対に保有している売りポジションをトレンド転換時に買い戻すだけでなく、同時に買いポジションを新規で取ることになります。

計算式

パラボリックの計算式は以下のようになっています。

当日SAR = 前日SAR + AF ✕ (EP - 前日SAR)

SARは、売買転換価格のことであり、現在のポジションをストップ(Stop)し、反対(Reverse)のポジションをとる価格のことです。SARと株価が交差すると方向転換し、その交差した箇所が売買ポイントとなります。

トレンド転換前の最高値や最安値が、転換後の初期値となります。例えば上昇トレンドへ転換した場合は、前回の下落トレンド時の最安値となり、下落トレンドへ転換した場合は、前回の上昇トレンドの最高値になります。その後、1日が経過するごとに上記計算式で、価格が変化していきます。

EP(Extreme Point)は、上昇トレンド中であればその期間内の最高値、または下落トレンド中であればその期間内の最安値を指します。トレンドが継続し、最高値や最安値が更新された場合は、新しい値に差し替わることになります。

AF(Acceleration Factor)は、日本語で加速因数のことであり、AF値は一般的に初期値が「0.02」であり、加速因数が「0.02」であればEPが更新されるたびに「0.02」ずつ増加し、「0.2」が最大値となります。

相場が続き最高値や最安値が更新されるほどAF値は大きくなりますが、最大値である「0.2」になると加算は終了します。そして相場が転換するとAFは初期値に戻ります。

AFは大きくしすぎるとダマシが多くなり、小さくしすぎると取引タイミングが遅れるなどのデメリットがあります。J.W.ワイルダーが推奨するAFの初期値および加速因数は「0.02」です。

パラボリックの見方・使い方

それではパラボリックの見方や実践での使い方について見ていきましょう。

パラボリックとは

パラボリックは、SAR(ストップアンドリバース)と呼ばれる転換点をつないだ放物線で表されます。

パラボリックの使い方

SARがローソク足の下にある場合は上昇トレンドと判断し、買いポジションの保有を継続し、SARがローソク足の上にある場合は下落トレンドと判断し、売りポジションの保有を継続します。

パラボリックの使い方

そして、SARと株価が交差する箇所が売買ポイントとなります。つまり、上昇トレンド時でローソク足がSARを下抜け、SARがローソク足の下から上に変わったら(陰転)売りサイン、反対に下落トレンド時でローソク足がSARを上抜け、SARがローソク足の上から下に変わったら(陽転)買いサインと見ることができます。

パラボリックは、途転(どてん)を繰り返すのが特徴ですので、売りサイン時には買い建玉を決済すると同時に売り建玉を保有し、買いサイン時には売り建玉を決済すると同時に買い建玉を保有します。

パラボリックは大きなトレンドが発生した際に有効な指標ですが、ボックス相場だとダマシが発生しやすくなるので注意が必要です。

パラボリックの注意点

パラボリックには注意点があります。

まずはAF(加速因数)についてです。

これは時間経過とともにSARが株価に追いつけるようにしたものです。

AFが大きすぎると株価の動きに近づいていきますが、ダマシが発生しやすくなります。反対に小さすぎるとダマシは発生しにくくなりますが、取引タイミングが遅れるなどのデメリットがあります。そのためAF値を設定する際には注意が必要です。J.W.ワイルダーが推奨する設定値は「0.02」と言われていますので、目安にするといいでしょう。

続いては注意点であり欠点でもあります。

それは、パラボリックはボックス相場だとダマシが発生しやすくなるという点です。

大きなトレンドが発生し、株価が長期間一方的に動く場合には有効な指標ですが、ボックス相場となり短期間に株価が上下するような局面ではダマシが多くなってしまいます。利益がロクに出ていないのに途転サインが出たり、途転サインが出た直後にまたすぐに途転サインが出てしまうといった状況になりやすいのです。

そのため、他のテクニカル指標と併用し、トレンドが発生している局面か判断することが有効です。パラボリックと相性の良いテクニカル指標は下記で紹介します。

パラボリックと相性の良いテクニカル指標

パラボリックは他のテクニカル指標と組み合わせて使うことで、より高い効果を発揮します。

ここではパラボリックと相性の良いテクニカル指標を紹介します。

移動平均線

移動平均線は、一定期間の終値の平均値を繋ぎ合わせたラインことです。移動平均線を加えることで、よりトレンドを把握しやすくなります。

移動平均線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下落トレンドのように非常にシンプルなので、移動平均線との組み合わせは初心者にもおすすめの手法となります。

移動平均線を組み合わせた手法では、200日移動平均線を活用するのが良いでしょう。

株価が移動平均線よりも上にある時は「買い」だけを行い、株価が移動平均線よりも下にある場合は「売り」だけを行い、エントリーするタイミングはパラボリックを活用して判断するというものになります。

長期的な大きい流れに沿ってトレードすることになるので、ダマシが発生しにくくなるメリットがあります。

DMI(ADX)

DMIは、トレンド発生やトレンドの強さを判断するのに役立つテクニカル指標です。パラボリックと同じくJ.W.ワイルダーによって考案された指標です。

DMIで表示されるラインの内、ADXを活用することでトレンドの強さを見ることができます。値動きの方向は関係なく、ADXが上昇している場合はトレンドが強く、下降している場合はトレンドが弱いと判断することができます。

具体的な使い方としては、ADXが上昇していてトレンドが発生していると判断できた際に、パラボリックの売買サインが出たらエントリーするといった方法になります。

MACD

MACD(マックディー)とは、短期と長期の移動平均を元に算出したMACDというラインと、そのMACDを移動平均化したシグナルと呼ばれるライン、これら2つのラインが交差したタイミングを売買サインと判断します。

MACDがシグナルを下から上へ抜けた(ゴールデンクロス)場合、買いサインとなり、反対にMACDがシグナルを上から下へ抜けた(デッドクロス)場合は、売りサインとなります。2本のラインが交差する角度が大きいほど、トレンド転換の信頼性はより高くなります。

そしてヒストグラム(棒グラフ)を活用してトレンドの強弱を見ることができます。棒グラフが長いほどトレンドが強いことを表しています。

組み合わせた具体的な使い方は、MACDがゴールデンクロスした時に、パラボリックに買いサインが出ていれば買いのエントリー、MACDがデッドクロスした時に、パラボリックに売りサインが出ていれば売りのエントリーといった使い方になります。ヒストグラムでトレンドの強弱を確認することで、より信頼性を高めることができるでしょう。

まとめ

パラボリックの基礎や実践での使い方などを解説しました。パラボリックを活用することで、トレンドの転換点を見極め、売買サインを判断するのに役立てることができます。

パラボリックは優秀な指標ではありますが、決して万能ではないということをしっかり覚えておくようにしましょう。特にレンジ相場ではダマシが発生しやすくなるので注意が必要です。

パラボリックの精度をより高めるために、移動平均線やDMI(ADX)、MACDといった他の指標と組み合わせて活用するといいでしょう。今回紹介した指標以外にもいろいろ試してみても良いかもしれません。

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