テクニカル分析のやり方とは?株で使えるおすすめテクニカル指標を解説!

テクニカル分析のやり方とは?株で使えるおすすめテクニカル指標を解説!

株式投資で利益を得るには、購入や売却のタイミングを分析することは欠かせません。

その分析で活用されるのがテクニカル分析と呼ばれる手法です。

テクニカル分析は、過去の株価の値動きをもとに今後の株価の値動きを分析する手法であり、初心者から上級者まで利用しています。

当記事ではテクニカル分析とは何か、具体的なやり方や初心者にも使いやすいおすすめのテクニカル指標などを分かりやすく解説します。

テクニカル分析とは

テクニカル分析とは、過去の株価の値動きをチャート上に表示して、トレンドや時系列パターンを把握し、今後の株価の値動きを予測する分析手法のことを言います。

テクニカル分析は購入や売却のタイミングを計るのに有効です。必ずしも予測通りに株価が動くとは限りませんが、テクニカル分析を使うことで、どのタイミングで購入・売却すればいいのかを見極めることができ、利益を出せる確率を上げることができます。

テクニカルチャートは、各証券会社の取引ツールや、Yahoo!ファイナンスなどの株式情報サイト等で確認することができます。

補足: ファンダメンタルズ分析とは

相場の分析方法にはテクニカル分析の他に、ファンダメンタルズ分析という手法があります。

ファンダメンタルズ分析とは、国の経済状況や企業の業績・財務状況などのデータをもとに、今後の株価の値動きを分析をする手法です。

ファンダメンタルズ分析を行うには、損益計算書や貸借対照表などの情報を読み解いたり、ある程度の知識が必要になってきます。

テクニカル分析では主に短期的な値動きを分析するのに役立つ手法ですが、ファンダメンタルズ分析はその企業の本質的価値を分析するので、中長期投資に適した分析手法と言えます。

※ファンダメンタル分析の詳細にはついては以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
ファンダメンタルとは?ファンダメンタルズ分析のやり方や指標を解説

テクニカル分析のメリット

テクニカル分析のメリットについて説明します。

視覚的に判断できる

テクニカル分析は、株価の動きを株価チャートで視覚的に判断できるため、初心者でも売買ポイントを把握しやすいです。

株価チャートは株価の値動きをグラフ化したものであり、移動平均線など様々な指標をチャート上に表示することが可能です。

視覚的に判断できるので、株価の動きについて理解しやすく、初心者でも分析しやすいメリットがあります。

経済に関する知識が無くても分析できる

テクニカル分析は、経済に関する知識が無くても分析することが可能です。

ファンダメンタルズ分析の場合は、国の経済状況や企業の財務諸表などの情報を読み解くのに専門的な知識が必要ですが、テクニカル分析ではそのような知識が無くても問題ありません。

テクニカル分析はチャートだけを見て分析することが可能なので、経済知識のない初心者でも手軽に行うことができます。

プロの投資家と情報量がほぼ同じ

テクニカル分析は、株価チャートをもとに分析をするため、個人投資家と機関投資家をはじめとしたプロの投資家とで情報量の差はほとんどありません。

機関投資家とは、大量の資金を使って株式の売買を行う団体のことであり、銀行や保険会社などが該当します。こうした機関投資家は様々な情報ネットワークを持ち、個人投資家では知りえないような企業情報を仕入れたり、企業の決算内容や財務状況などの情報を素早く入手することが可能です。

そのため、ファンダメンタルズ分析では、個人投資家と機関投資家では、情報量や情報を手にするスピードに差が生まれてしまい、個人投資家はどうしても不利になることが多いです。しかし、テクニカル分析は、株価チャートをもとに分析をするため、個人投資家も機関投資家と同じタイミングで情報を得ることができるので、プロと同じ土俵で勝負をすることができます。

テクニカル分析のデメリット

続いて、テクニカル分析のデメリットについて説明します。

分析通りになるとは限らない

テクニカル分析をしたからといって、必ずしも予想通りに株価が動くわけではありません。

どんなに経験を積んでスキルを身に付けたとしても、100%分析通りにいくことはありません。

テクニカル分析は決して万能ではなく、分析結果と異なる値動きをして損失を生み出すリスクがあるということを常に意識しておくようにしましょう。

「だまし」が起きる可能性がある

チャートでは「だまし」が起きる可能性があります。

だましとは、チャート上では売買サインが出たものの、売買サインが取り消されて予想外の方向へ値動きをすることを言います。

株価は様々な要因で変動しているため、過去のパターンと合致するとは限りません。例えば、株価上昇のシグナルが出ていたとしても、株価が上昇せずに下落してしまうこともあります。

また、大きな資金を持つ機関投資家が、売買サインが出た際に、わざとその逆となる行動(例えば買いサインの時に大量の売り注文)を行い、利益を得ようとするケースもあります。

こうした場合、適切に損切りをしないと損失が拡大してしまう可能性があります。だましを100%見分けることはほぼ不可能ですが、経験を積み、複数の指標を組み合わせることで、回避する確率を上げることは可能です。もし疑わしいと感じたら、早めに損切りすることも大切です。

突発的な出来事に対応できない

テクニカル分析は過去の株価データをもとに判断する分析手法であるため、突発的な出来事に対応することができません。

例えば、世界情勢に影響するような出来事や、企業の不祥事などのニュースが流れた場合、通常の相場とは全く異なった値動きになることがあります。

テクニカル分析に頼り切っていると、こうした突発的な出来事に対応できません。そのため、売買を行う際には、世の中や企業で突発的なことが起きていないか、最低限のニュースを確認することが大切です。

チャートの基本はローソク足

株価チャートは株価の値動きをグラフ化したものであり、いくつか種類がありますが、最も代表的なものは「ローソク足」です。

ローソク足を見ることで、株価の推移を確認でき、その区間(日足であれば一日)の始値、終値、高値、安値を確認できます。

ローソク足解説

ローソクの実体部分の上下が「始値」と「終値」を表します。終値が始値より高い場合は、ローソクの実体の上部分が「終値」で下部分が「始値」となり、「陽線」と呼びます。終値が始値より低い場合は、ローソクの実体の上部分が「始値」で下部分が「終値」となり、「陰線」と呼びます。

そして、ローソクの実体の上に伸びる線の上部先端が「高値」、下に伸びる線の下部先端が「安値」となります。

ローソク足は期間によって呼び名が変わり、期間が1日なら「日足(ひあし)」、週単位なら「週足(しゅうあし)」、月単位なら「月足(つきあし)」、時間単位なら「時間足(じかんあし)」、分単位なら「分足(ふんあし)と呼ばれます。」

代表的なおすすめテクニカル指標は?

テクニカル分析で使う指標は大きく2つに分けることができ、「トレンド系」と「オシレーター系」の2種類があります。

相場の流れや方向性を判断するのが「トレンド系」、買われ過ぎや売られ過ぎといった相場の過熱感を判断するのが「オシレーター系」となります。

「トレンド系」と「オシレーター系」どちらにも、数多くのテクニカル指標があります。

ここからは「トレンド系」と「オシレーター系」それぞれの代表的なテクニカル指標について解説します。

相場の流れや方向性を判断する「トレンド系」

トレンド系は、相場の流れや方向性を判断するのに役立ちます。

トレンド系の代表的な指標を紹介します。

移動平均線

トレンド系の最も代表的な指標が「移動平均線」です。

移動平均線は、過去の一定期間の終値の平均値をつないで描かれた線です。例えば、5日間の終値の平均値をつないだ線を「5日移動平均線」と言います。

よく使われるのは日足チャートでは、5日線、25日線、75日線、週足チャートでは13週線、26週線が代表的です。

移動平均線解説

移動平均線が上向きに傾いていれば上昇トレンド、下向きに傾いていれば下落トレンドと判断できます。

移動平均線を用いた売買ポイントを判断する指標として代表的なものが「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」になります。

短期移動平均線が長期移動平均線を下から上にクロスして突き抜けた状態を「ゴールデンクロス」と言い、上昇トレンドの転換ポイントと捉え、買いシグナルと判断されます。

反対に短期移動平均線が長期移動平均線を上から下にクロスして突き抜けた状態を「デッドクロス」と言い、下落トレンドの転換ポイントと捉え、売りシグナルと判断されます。

ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンドは、移動平均線とその上下に標準偏差のラインがチャート上に描かれたものになります。

標準偏差とは、データの散らばり具合を表す数値のことであり、終値など一定期間内の複数のデータが、平均からどれくらい散らばっているかを表したものになります。

統計学を元に作成しており、過去の値動きから、将来の株価の変動範囲を予測してチャート上に表示しています。値動きが激しくなるほど移動平均線との乖離幅は拡大し、値動きが小さくなると乖離幅は縮小する傾向にあります。

株価は標準偏差のラインの中で収まるという統計学的な視点から、売買タイミングをはかります。

ボリンジャーバンドとは

このレンジを「σ(シグマ)」と呼び、移動平均線から見て一番近い上のレンジが「+1σ」、一番近い下のレンジが「-1σ」となります。これを2倍してより乖離させたものが「+2σ」「-2σ」、3倍してより乖離させたものが「+3σ」「-3σ」となります。

株価が±1σの範囲内に収まる確率は「約68.3%」、±2σの範囲内に収まる確率は「約95.4%」、±3σの範囲内に収まる確率は「約99.7%」になると想定されています。

これは、株価は移動平均線を離れるほど反発して移動平均線の方へ戻る可能性が高くなるという考えに基づいています。

つまり、+時σの数値が高いほど反発して株価が下がる可能性が高く、高値側の標準偏差ラインに株価が近づけば売りポイントと判断できます。

反対に、-時σの数値が低いほど反発して株価が上がる可能性が高く、安値側の標準偏差ラインに株価が近づけば買いポイントと判断できます。

一目均衡表

一目均衡表は、時間軸に着目して分析を行うトレンド系テクニカル指標です。

ローソク足と、5つの線「基準線」「転換線」「先行スパン1」「先行スパン2」「遅行スパン」から形成されるチャートです。先行スパン1と先行スパン2の間を「雲」と呼びます。

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一目均衡表

一目均衡表の見方はいくつかありますが、主に以下の局面で、買いシグナルと判断されます。

1) 転換線が基準線を下から上へ突き抜けた場合
2) 遅行スパンがローソク足を下から上へ突き抜けた場合
3) ローソク足が雲を下から上へ突き抜けた場合

この3つ全てが揃った状態は「三役好転」と呼ばれ、より強い買いシグナルとなります。

反対に、以下の局面で、売りシグナルと判断されます。

1) 転換線が基準線を上から下へ突き抜けた場合
2) 遅行スパンがローソク足を上から下へ突き抜けた場合
3) ローソク足が雲を上から下へ突き抜けた場合

この3つ全てが揃った状態は「三役逆転」と呼ばれ、より強い売りシグナルとなります。

相場の過熱感を判断する「オシレーター系」

オシレーター系は、買われすぎや売られすぎといった相場の過熱感を判断するのに役立ちます。買われすぎであれば「売り」、売られすぎであれば「買い」といった逆張りの手法が用いられます。

オシレーター系の代表的な指標を紹介します。

MACD

MACD(マックディー)は、短期と長期の指数平滑移動平均を元に算出したMACDというラインと、そのMACDを移動平均化したシグナルと呼ばれるラインを用いて売買タイミングを判断するテクニカル指標です。MACDやシグナル値が0になるラインを0ラインと言います。

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MACD

0ラインの下部で、MACDがシグナルを下から上へ突き抜けたら買いシグナルとなります。その後、MACDとシグナルの両方が0ラインを上回れば、より強い買いシグナルとなります。

反対に、0ラインの上部で、MACDがシグナルを上から下へ突き抜けたら売りシグナルとなります。その後、MACDとシグナルの両方が0ラインを下回れば、より強い売りシグナルとなります。

RSI

RSI(Relative Strength Index)は、日本語で「相対力指数」という意味であり、相対的な価格変動の強弱を数値化したものになります。

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RSI

数値は0~100%の範囲で推移し、買われすぎの場合100%に近づいていき、売られすぎの場合0%に近づいていきます。一般的には、70%以上で買われすぎ(売りシグナル)、30%以下で売られすぎ(買いシグナル)と判断されます。

ストキャスティックス

ストキャスティックスは、一定期間の最高値と最安値の間の中で、現在の株価が相対的に見てどこに位置するかを示したものになります。

ストキャスティックスには、「ファーストストキャスティクス」と「スローストキャスティクス」の2種類があります。ファーストストキャスティクスが短期投資向け、スローストキャスティックスが中長期投資向けとなっています。

ファーストストキャスティクスでは、「%K(パーセントK)」と「%D(パーセントD)」の2本の線をチャート上に表示し、スローストキャスティクスでは、「%D(パーセントD)」と「SLOW%D(スローパーセントD)」の2本の線を表示します。

数値はそれぞれ0%から100%の範囲で推移します。

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ファーストストキャスティクス

一般的には、「%K」と「%D」が70~80%以上で買われすぎ(売りシグナル)、20~30%以下で売られすぎ(買いシグナル)と判断します。

同様に、「%D」が「SLOW%D」が70~80%以上で買われすぎ(売りシグナル)、20~30%以下で売られすぎ(買いシグナル)と判断します。

また、「%K」が「%D」を下から上に突き抜けた場合には買いシグナル、「%K」が「%D」を上から下に突き抜けた場合は売りシグナルと見ることもできます。

同様に、「%D」が「SLOW%D」を下から上に突き抜けた場合には買いシグナル、「%D」が「SLOW%D」を上から下に突き抜けた場合は売りシグナルと見ることができます。

予想が外れたら素早く損切りを

テクニカル分析は完全なものではありません。100%分析通りになることはなく、予想が外れてしまうこともあります。

もし予想が外れて損失が出てしまったら、素早く損切りをするようにしましょう。

予想が外れたことを素直に認められずにそのまま損切りできずにいると、損失が拡大してしまい、取り返しのつかない大きな損失を生み出してしまう可能性があります。一度の大損失で、これまでの利益が全て吹き飛んでしまうことにもなりかねません。

どんなに経験の積んだプロのトレーダーでさえも、予想が外れることはあります。損失が出てしまった場合には、素直に負けを認め、素早く損切りをすることが、大切な資産を守るために最も重要なことのです。

まとめ

株式投資で使える代表的なテクニカル指標や、基本的なテクニカル分析のやり方を解説しました。

テクニカル分析は視覚的で分かりやすいため、初心者でも理解しやすく、分析しやすいと言えます。

テクニカル指標を使って分析力を高めることができれば、利益を出せる確率も高めることができます。

様々なテクニカル指標があるため、まずは実際にいくつかの指標を使ってみて、自分に合った分析手法を探してみるといいでしょう。

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