株主優待をお得にGETできる『クロス取引』のやり方とは?リスクは無い?
株主優待目当てで株を購入したものの、権利落ち日以降に株価が下落してしまい、株主優待以上の損失を出してしまった・・・なんてことありませんか?
人気優待銘柄であるほど、株主優待の権利がもらえる「権利付き最終日」までに株価が上がりやすく、翌日の「権利落ち日」には株価が下落しやすい傾向にあります。そのため、株主優待目当てで株を購入すると、結果的に損をしてしまうリスクがあります。
しかし、このリスクを回避し、お得に株主優待をGETする方法があります。それが『クロス取引』です。
クロス取引とは?
クロス取引とは、「現物買い」と「信用売り」を、同じ価格・同じ株数で同時に注文を行うことを言います。
「現物買い」は、通常の買い注文のことであり、購入した価格よりも株価が上がって売却すれば利益になり、株価が下がって売却すれば損をします。
「信用売り」は、証券会社から株を借りて売り注文から入る注文方法のことであり、売却した価格よりも株価が下がって購入(返済)すれば利益になり、株価が上がって購入(返済)すれば損をします。
つまり、「現物買い」は株価が上がれば利益が出て、「信用売り」は株価が下がれば利益が出ます。この2つの注文を同じ価格で同時に行えば、株価がどちらの方向に動いても損益は相殺されるので、リスクを回避して株主優待を手に入れることが出来るのです。
クロス取引のやり方
クロス取引で株主優待を獲得する手順は下記の通りです。
1) 権利付最終日の寄付前(取引開始前)に、同じ銘柄・同じ株数で「現物買い」と「信用売り」の成行注文を出します。※同じ価格で注文を成立させるため
2) 始値(その日に初めて取引された株価)で取引が成立したら、この日はそのまま保有したままにします。
3) 翌営業日の権利落ち日に「現渡し※」の注文を行います。
※現渡しとは
現渡しとは、信用取引の決済方法のひとつであり、すでに保有している株を証券会社に引き渡すことで返済する方法です。
「信用売り」をした場合、証券会社に株を返済しないといけませんが、すでに「現物買い」によって株を保有しているので、この「現物買い」で購入した株を引き渡すことで返済することが出来ます。
現渡しではなく、「現物買い」の株を売って、「信用売り」の株を買い戻すことでも、結果は同じになりますが、この場合だと売買手数料が余計にかかってしまいます。現渡しであれば手数料はかからないので、よりお得になる現渡しを行うようにしましょう。
クロス取引のデメリット・注意点
クロス取引にはデメリットや注意点がありますので、しっかり確認しておきましょう。
信用取引口座の開設をする必要がある
通常の証券口座を開設しただけでは、「信用売り」を行うことは出来ません。
「信用売り」を行うには別途、信用取引口座の開設をする必要があります。
口座開設は無料で出来る場合がほとんどですが、申込みには審査があるため、信用取引が出来るようになるまで、申込みをしてから数日~数週間ほどかかります。(※基本的に審査は通りますが、審査が通らない場合もあります。)
クロス取引が出来る銘柄は限られている
クロス取引は全ての銘柄で出来るわけではありません。
クロス取引が出来るのは、証券取引所が選定した貸借銘柄か、各証券会社が指定する銘柄のみとなります。
取引コスト、特に『逆日歩』には注意が必要
クロス取引は「現物買い」と「信用売り」を同時に行う取引のため、通常の株を購入する際にかかる手数料のほかに、様々なコストがかかります。
主に以下のコストがかかります。
・売買手数料
・貸株料
・配当金差額
・逆日歩 ※要注意
売買手数料
「現物買い」や「信用売り」をする際にかかる手数料です。
貸株料
「信用売り」で、証券会社から株を借りるために支払う費用です。株を借りた日数分支払うことになります。
配当金差額
クロス取引時に配当金の権利が確定した場合、「現物買い」では配当金を受け取りますが、「信用売り」では配当金相当額を支払う必要が生じます。
配当金を受け取る場合には税金が差し引かれた分を受け取ることになりますが、配当金を支払う場合には配当金相当額100%を支払うことになります(※一般信用取引の売り建玉の場合)。つまり、「現物買い」は、税金が差し引かれた分の配当金を受け取り、「信用売り(※一般信用取引の売り)」は、配当金相当額100%を支払います。
この支払った配当金相当額と、受け取った配当金の差額、つまり税金分がコストになる可能性があります。
逆日歩(ぎゃくひぶ)
クロス取引を行う際、逆日歩(ぎゃくひぶ)には特に注意する必要があります。
信用売りの需要が増え、証券会社が貸せる株が不足した場合、証券会社は日証金(日本証券金融株式会社)から株を借りてきます。そして、さらに信用売りの需要が増えて日証金でも株が不足すると、機関投資家などから手数料を支払って株を調達することになります。この時にかかる手数料は投資家が負担しなければならず、これを「逆日歩」と言います。
逆日歩の金額は日によって異なり、「信用売り」を行った翌営業日にならないと分からず、高額になる場合もあります。クロス取引でお得に株主優待を獲得するはずが、逆日歩を払うことで損をしてしまうことが起こりえるのです。
逆日歩によるリスクを避けるには『一般信用取引』を行うべき
信用取引には、「制度信用取引」と「一般信用取引」の2つがあります。
「制度信用取引」の場合、逆日歩がかかりますが、「一般信用取引」の場合、逆日歩はかかりません。
「制度信用取引」は、証券取引所が選定した貸借銘柄を対象とした信用取引であり、証券会社は貸せる株が不足すると、機関投資家などから株を調達するので、逆日歩がかかります。
一方「一般信用取引」は各証券会社が独自で選定・調達してきた銘柄を対象とした信用取引であり、投資家と証券会社の間だけで完結する取引なので、逆日歩がかかりません。
売買手数料や貸株料などは、「制度信用取引」よりも「一般信用取引」の方が高くなる場合がありますが、想定外の高額なコスト「逆日歩」が発生することはないので、リスクを避けるためにもクロス取引を行う際には『一般信用取引』を行うべきだと言えます。
クロス取引におすすめの証券会社
クロス取引をするなら、「逆日歩」が発生しない一般信用取引ができる証券会社がおすすめです。
一般信用取引ができるおすすめの証券会社を紹介します。
SMBC日興証券
SMBC日興証券は、信用取引手数料が無料なので、クロス取引向けの証券口座と言えるでしょう。
売り在庫数も豊富なため、クロス取引で株主優待をお得にGETしたい人はぜひとも開設しておきたいところです。
楽天証券
楽天証券は株式取引等でポイントが貯まる人気の証券会社です。
一般信用取引にもしっかり対応しており、それ以外にも日本経済新聞社が提供するビジネスデータベースサービス「日経テレコン(楽天証券版)」を無料で利用できたりと、他にもメリットづくしなので口座開設しておいて損はないです。
SBI証券
SBI証券は一般信用銘柄が豊富なのが特徴です。
たくさんの株主優待を狙っているという人におすすめです。
松井証券
松井証券は取扱銘柄数自体はそれほど多くはありませんが、松井証券だけ在庫が残っているということも度々見られるので、口座を作っておいて損はないです。
1日の約定代金が現物と信用合わせて50万円までは手数料が無料になります。
コメントフォーム