配当金にも税金はかかる!確定申告をすればお得に?NISA口座の場合は?
株の売買で利益を得たら、税金を支払う必要がありますが、果たして配当金の場合はどうなのでしょうか。
配当金は、企業が出した利益の一部を株主に還元してくれるお金のことを言います。
今回はこの配当金に関する税金・確定申告について解説致します。
配当金にも税金はかかる
配当金にも原則として税金がかかります。
税率は『20.315%』です。
税率の内訳を見ると、所得税「15%」、住民税「5%」、復興特別所得税「0.315%」となります。
復興特別所得税とは、東日本大震災の復興を目的とした税金であり、2035年まで課税されることが決まっています。
具体的に見てみますと、
例えば、1株あたり10円の配当金の株を100株持っていたとすると、もらえる配当金の額は「10円 × 100株 = 1,000円」となりますが、ここから税金が引かれますので
「1,000円 × (1 – 0.20315) = 796.85円」となり、実際に支払われる額は「796円」ということになります。
基本的に配当金は源泉徴収後に入金される
基本的に、配当金は源泉徴収後に入金されます。
証券会社の口座には、「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」の3種類がありますが、どの口座でも税金が引かれてから入金されます。
そのため、配当金の税金について意識したことが無いという投資家も多いでしょう。
確定申告をすることでお得に?
配当金は税金が引かれてから入金されるため、確定申告は不要だということを説明しました。
しかし、これはあくまでも投資家の手間を省くための制度というだけで、他の支払い方法を選ぶことも出来ます。
実は配当金の税金の支払い方法は3つあります。
その他の支払い方法を選んで、確定申告をすることも可能になっているのです。
これまで説明してきた確定申告不要の支払い方法は「申告不要制度」と言います。
そして、他にも「総合課税制度」や「申告分離課税制度」という支払い方法があります。
それぞれの支払い方法について解説します。
申告不要制度
申告不要制度は、配当金が支払われる段階で源泉徴収されるため、配当金の税金に対して確定申告が不要になる制度です。
投資家は特に税金のことを意識しなくて良いので面倒なことは何もありません。ほとんどの投資家が知らずにこの制度を選択していることになります。
総合課税制度
総合課税制度は、給与所得などの所得と配当金による所得を合算して税率を算出する制度になります。
所得税は累進税率となっており、所得が多い人ほど税率が上がるようになっています。そのため、所得が低い人は、総合課税制度を選択することで、税率を少なくすることが出来ます。
また、総合課税制度は配当控除を受けることが出来る点もメリットになります。
配当控除とは?
そもそも配当金の元になっているのは、企業が出した利益です。
この企業が出した利益に対し、企業はすでに法人税を支払っています。
そのため、配当金からも税金を課してしまうと、二重に課税することになってしまいます。
この二重課税を調整するための制度が「配当控除」です。配当控除は、所得税や住民税から一定の税率分還元してくれる制度になります。
配当控除の対象となるのは、国内株式の配当金や国内上場株式投資信託となります。外国株式の配当金は対象にならないので注意しましょう。
申告分離課税制度
申告分離課税制度は、給与所得などの所得とは合算せず、確定申告する制度になります。税率は申告不要制度と同じです。
メリットは、株式の売買損失と、配当金による利益を損益通算することが出来る点です。つまり、配当金による利益分を、株式売買の損失で相殺することが出来るのです。
そのため、配当金の利益より、株式売買での損失の方が大きければ、配当金に税金がかからなくなります。
さらに、損益通算した後のマイナス分は、3年間繰り越すことができます。株式売買での損失がある場合には、この申告分離課税制度を選択することで、節税することが可能になります。
お得になるのはどっち?
確定申告するなら、「総合課税制度」「申告分離課税制度」のどちらがお得なのでしょうか。
総合課税制度は、所得が多い人ほど税率が上がります。課税所得が695万円を超えると、配当控除後の税率が、源泉徴収される際の税率を上回ることになります。
これを踏まえて、どちらがお得なのかをまとめると以下のようになります。
【総合課税制度】がお得になる人
・合算した課税所得が695万円以下の人
【申告分離課税制度】がお得になる人
・合算した課税所得が695万円を超える人
・株式などの売買損失がある人
NISA口座なら配当金に税金がかからない!しかし注意点も!
NISA口座であれば、配当金に税金はかかりません。税金を引かれることなく、そのまま配当金がもらえます。もちろん確定申告の必要もありません。
しかし、注意点があります。
配当金の受け取り方を、「配当金領収証方式」や「登録配当金受領口座方式」にしている場合は、配当金が非課税になりません。
「配当金領収証方式」とは、郵送されてきた配当金領収証を、銀行や郵便局で現金と引き換えてもらう方式です。
「登録配当金受領口座方式」は、配当金が金融機関の口座に入金される方式です。
この2つの方式を選択していると、配当金が非課税にならないので注意しましょう。
配当金が非課税になるためには、「株式数比例配分方式」を選択しておく必要があります。
株式数比例配分方式は、配当金が株式を保有している証券口座に入金される方式です。
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